月曜日
彼は考えていた。
帰り道2車線の国道はいつものように混んでいた。
バイトまでは少し時間があった。
彼は少し寄り道をしてみたくなった。
彼は思いつきで行動するのが好きだった。
ふとラーメンが食べたくなった。
ラーメンなんてほぼ毎日見ている。
そして3日にいっぺんは食べてるのにだ。
いやだからこそ他のラーメンが食べたかったのかもしれない。
彼は国道を外れ裏道に入った。
もちろん国道にもラーメン屋はあったが、あえて隠れ家的なところで食べてみたかったのだ。
いくつかのラーメン屋を迷いながら通り過ぎたとき、前にとんこつラーメンを売りにしているラーメン屋が見えた。
あいにく駐車場がなかったが、彼はなぜかこの店のなんともいえない雰囲気にひかれた。
近くのスーパーに車を止めると、少し迷った挙句思い切って入ってみた。
中は外から見たとおり狭く、客は少なく、女の人一人でラーメンを作っていた。
しかし彼はニヤリと例の笑い方をした。
これが彼の望んでいるものだったのだ。
彼は3つあいていたカウンター席の真ん中に座ると、とんこつラーメンとねぎを注文した。
程なくしてラーメンは出てきた。普通のラーメン皿より平らな変わった形の皿に盛られたとんこつラーメンにねぎが盛られている。
いい香りだ。とんこつにしては色がけっこう濃く、だしにたぶん特殊な物を使っていることがうかがえた。
そして彼は一口食べて思う。
うまい。
麺はけっこう太めな縮れ麺でチャーシューとわかめのトッピングがまた旨いと彼は感じていた。
時間はけっこうなかったのだが彼はゆっくりとそのラーメンを食べ続けた。
いいところを見つけた。彼はそう思った。
そうまるで草原にあるゆりかごのようだった。