金曜日

彼は考えていた。

ここはどこだ?


いやわかりきっていた。


ここはニホンのサイゼリアである。

しかし彼の目の前にある光景が自分の現在地を錯覚させるのである。


金曜日は彼の所属しているサークルの活動日だった。

といってもご飯を食べに行って話し合いするだけなわけだが……


彼のサークルは流行のグローバル化なるものを取り入れようとしていた。


ここまでは良いといえる。

言うなれば行き過ぎたのだ。


彼は今日、3人のニホンジンと7人のガイコクジンと呼ばれる人たちと食事をしていた。


それぞれ様々な国から来ており、彼がそれをすべて把握するのは不可能に近かった。


しかし彼は単純に感じていた。

楽しい。


そして、一瞬頭をよぎったニホンジンといるよりよっぽど楽しいかもしれない。という感覚を必死でなぎ払った。