だったらなんだ
近くの駅で人身事故があり、ダイヤにかなりの乱れが出ていた。
まっ
俺池袋線だから、無問題
武蔵野線が止まっていた。
まっ
俺今日2時からバイトで止まる前に帰ったから、無問題
結局そういうことだ。
どうあったって結局当事者になってみないとわからない、というのはどこかで書いた気がするが、そんなことは至極当たり前のことで、我々は結局与えられた情報の中で生きるほかない。
電車が遅れたことで、被害を受けた人の苦労を想像することはできても、それは想像であって理解ではない。
人身事故で死んだ人の心情を考えたりすることなど、もっとそれに近いと言える。
少なくとも全知全能でも、超能力者でもない俺には不可能だ。
さて、何が言いたいのかさっぱりわからない。
俺がまったくわかっていないのだから、皆はもっとわからないだろう。
まぁ言いたいことを簡単にまとめると、自分の容量を超えたことはわかりえないと言うことだ。
だから、突然バイト先に現れた英語しか話せない客の言っていることを俺が理解できるわけもないのだ。
ふつーに無理だ。せめてちょっとは日本語知ってて欲しかった。
少し格闘してわかったのは壁に張ってあるポスターのメニューと、指差してるメニューが同じかと言っているということだけだ。
しかも見ればわかる。明らかに違う。
だからNOと言っておいた。とりあえず納得したらしい。
んでそのどっちかを頼めばいいものを、今度はチャーハンを指差しこれはなんだ?と聞いてきた。
なんだと言われても、チャーハンはチャーハンなのである。
チャーハンって英語の言い方あんのか???
なんと言おうか?
ライスか?でもライスはライスで別にあるし……
なんかいろいろ混ぜて炒めたご飯。そんなこと俺が英語で言えるはずもない。
しかもここで誰かが言っていたどうでもいい記憶が蘇る。
日本人は「ら」の発音が「la」になってしまうため、ライスというと「rice」ではなく「lice」に聞こえてしまうと言うものだ。
つまり「シラミ」である。もしそんなふうに聞こえてしまったら、激怒すること間違えなし!!
こりゃまずい!!と思い俺は何も言えず、ただもう少しでっかく載ってる写真を見せる。
1分ぐらい見ていたその客は「Ummmm rice?」と聞いてきた。
ほう、わかったか。そうです。まぁただのライスではないけど、ライスであることに間違えはありません。
向こうから言ってくれたんだから問題ない
だからほっとして笑顔でYESと言った。
こうして一件落着し、無事に注文を取れた。
はぁ〜よかった。
俺はキッチンに入り、オーダーを伝える。
「ご注文いただきました。味噌ラーメン1つお願いします!!(怒)」